食用昆虫科学研究会は、サイエンスアゴラ2018に出展しました。
サイエンスアゴラとは
サイエンスアゴラとは、「科学」と「社会」と繋ぐことを目的として2006年から毎年開催されている科学イベントです。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催しています。
食用昆虫科学研究会は2011年から毎年出展しています。私たちにとってみなさまと直接対話ができるありがたい機会であり、昆虫食への理解を深めていただく場、私たちのことを知っていただく場としてとても価値があると考えています。参加者の方々にとっても実際に昆虫を試食できる数少ない場であり、2日間の日程で100名以上、多い年には300名近い参加者がある人気企画となっています。2013年には来場者投票によるサイエンスアゴラ賞も受賞しました。
「見せ方」をテーマに8年目のチャレンジ
しかし、この人気は「昆虫食」というコンテンツのパワーによるものが大きいと感じていました。このまま毎年同じように昆虫料理を試食してもらいながら何となくみなさまと対話する、ではいずれ飽きられてしまうという危機感がありました。そこで今年は「見せ方」を内部テーマとして、私たち自身が一皮むけるために出展8年目にしていくつかの新しいチャレンジをしました。ブランドやロゴのリニューアル、プロモーションムービーの制作、ポスターの制作……ここではそのうちの一つ「昆虫食なんでもQ&A」についてご紹介します。
昆虫食なんでもQ&A
からあげになっているならそのままおいしいです#昆虫食なんでもQA#サイエンスアゴラ pic.twitter.com/gCHHqBUOBX
— 食用昆虫科学研究会11/10.11サイエンスアゴラ (@shockonken) 2018年11月11日
学名を調べて毒があるとの記載がない場合だけ味見。変な味や匂いがあった場合は飲み込まずに吐き出しています。食用として流通していいという意味での「食べられる」昆虫は今のところ食べている文化があるものと安全性評価をして食用と認可されたものがあります#昆虫食なんでもQA #サイエンスアゴラ pic.twitter.com/GlE9mJkBf2
— 食用昆虫科学研究会11/10.11サイエンスアゴラ (@shockonken) 2018年11月10日
昆虫食なんでもQ&Aとは、来場者の方がポストイットに昆虫食に関する質問を自由に書き、理事長の佐伯がラオスからズバズバとリアルタイムで回答し、それをサイエンスアゴラ会場に掲示するとともに、twitterにも投稿していくという取り組みです。これによって昆虫食に関する生の疑問とその回答を見える化し、たくさんの方々と臨場感のあるコミュニケーションを取ることができました。結果、2日間で約40,000回閲覧され、会場の中だけでなく会場の外のみなさまにも楽しんでいただくことができました。私たちのモチベーションも上がります。
昆虫食を取り巻く環境は変わりつつある
今年は昆虫粉末(イナゴ、コオロギ、カイコ蛹)を練りこんだスコーンを食べながら、100名弱くらいの方々とじっくりお話しをさせていただくスタイルをとりました。2011年と比べて思うことは、来場者の方の反応が薄くなっているということ。以前は
「えっ! 昆虫って食べられるの? きゃー! 食べちゃった!」
という大げさな反応が大半でしたが、最近では
「昆虫って栄養あるんでしょ? ふむふむ、こんなもんよね。」
というクールな反応が多くなってきました。昆虫粉末を練りこんだスコーンにもなると、見た目が地味ですのでより一層クールです。
これは昆虫が食べ物であるという考えがだんだんに普及してきたことを意味すると理解しています。私たちにとって喜ばしいことです。昆虫スコーンの試食を通じて、昆虫を食べる意味について、目指すべき社会の姿について、また私たちの活動内容について、じっくり本質的な議論をすることができました。
昆虫食はまだまだ熱い! 楽しい!
じっくりと言っても私たちの出展ブースでは2日間ずっと人が途切れることは無く、私たちは休む間もなく喋り続け大変忙しかったです。私はきっと半年分くらい喋りました。今年は群馬県の高校もカイコ蛹の甘露煮の試食を提供していたそうです。昆虫食の熱さはまだまだ続きそうです。
それに、何よりサイエンスアゴラは楽しい!
「また来たな、少年!」「今年は何が食べられるの?」
なんて毎年遊びに来てくれる子供たちとのふれあいがあり、無口で気難しそうなサラリーマン風男性に対する緊張感のあるプレゼンがあり、他の研究者の方との議論や新しいコラボがあり、どれもみんな刺激的です。普段のサラリーマン生活ではけっして味わうことができません。
今年の出展はたくさんの反省点がありました。来年はより魅力的な展示ができることでしょう。ますますパワーアップしていく私たちにどうぞご期待ください!